特別展
過去の 展示Ottchil(lacquer), the Color and Light of Ancient Artifacts
- 日付2019-06-25 ~ 2019-09-29
- 場所
- 主管
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本展について
漆塗りは数千年の間、天然の塗料として使われてきた。
美しい色を出し物を保護する漆塗りは、
人間が見つけた驚くべき自然の恵みである。
今日、我々は漆塗りの大切さを忘れ、
今ではその座を、手ごろな値段の化学塗料が占めるようになった。
我々の歴史と共に寄り添ってきた漆塗り。それがどのように形成され、
続いてきたか、今まであまり関心を向けなかった。
本展では、今まで注目されてこなかった古代の漆塗りについて紹介する。
漆塗りの素晴らしさ、その価値、そして継承の歴史についてスポットライトを当てる。
長い年月が経ち、今は割れて傷ついてしまった漆塗りの数々。
しかし、数千年の歳月を耐え、その歴史の息遣いを感じさせる物でもある。
本展により韓国の漆塗りにもう一度関心をもって、
その素晴らしさと価値を振り返る時間になれば、幸いです。
I. 漆塗りとは何か(大パネル)
漆塗りとは、漆の樹液を原料に、物の表面に塗ることを指す。物の表面に漆塗りをすることで、薄い固体の膜が形成される。この膜が独特の艶を出し、漆が塗られた物を上質なものにする。さらに、物を水や腐敗、熱からも守ってくれる。肌に付着するとかぶれるという短所があるにもかかわらず、数千年間、人が漆を使用してきた理由である。
漆塗りは先史時代から木や金属、布、粘土、革など様々な素材に用いられてきた。漆塗りがそれぞれの素材の弱点を補う役割を果たしたのである。漆塗りは東洋ならではの塗装文化といえる。漆塗りの原料となる漆の木が、東アジアや東南アジアを中心に分布しているからである。したがって、韓国にも漆の木が分布し、漆塗り文化が生まれたのは、自然の恵みといえる。
II. 韓国における漆塗りの歴史(大パネル)
韓国の漆塗りの歴史は、青銅器時代から始まっている。しかし、韓国の漆塗りの文化の典型を確認することができるのは、三韓時代からである。三韓時代にはすでに中国とは異なる独自の漆塗り文化が形成された。
三国時代の漆塗りは、三韓時代の漆塗りの伝統の中に楽浪（ナクラン）漆器の技術が受け入れられ、発展を遂げた。生活道具から甲冑や武器、王の枕や足載せなど、様々な階層の人々が使用した。統一新羅時代の漆塗りは、高麗～朝鮮時代の螺鈿技法に影響を与えた平脱技法が発展する。平脱漆器は、４頭品以上の地位の人だけにしか許されない上質で華やかな漆器である。
III. 人々の暮らしを今に伝える漆塗り(大パネル)
漆塗りは生活用品から、戦争の道具、死者のための祭器に至るまで、様々な物に用いられてきた。漆器には、華やかさを強調するために多様な模様や絵が描かれ、字が記された。このような模様や絵には、古代の人々の願いや理想が表現されている。
漆塗りは戦争の道具にも用いられた。武具を長持ちさせ、艶と光沢を出すことで、甲冑や武器を所持した人の威厳を示すためである。
漆器は死者と共に副葬されることもあった。死者があの世でも使える物に漆塗りをすることで、最上品を副葬しようとした当時の人々の心を読み取ることができる。漆塗りは古代から多様な分野で人々の暮らしに深く根差してきたのである。
IV. 高麗と朝鮮時代の漆塗り(大パネル/스카시)
古代の漆塗りは断絶されることなく、高麗～朝鮮時代にも受けつがれた。高麗～朝鮮時代の漆塗りは、螺鈿だけでなく、伝統的な制作方法でも漆器が制作され続けた。高麗時代の坡州（パジュ）・恵蔭院址の木心苧被漆器がその代表である。朝鮮時代では王室で赤漆の家具が、官庁では厳かな雰囲気を醸し出すために黒の漆塗りが主に用いられた。
高麗～朝鮮時代の漆塗りは、螺鈿漆器により花開いた。螺鈿漆器は漆塗りをした物の上に貝殻を模様になぞって切り貼りし、さらに漆塗りをした後、螺鈿の表面の漆塗りを削ることで、螺鈿を浮き彫りにする手法が用いられる。高麗の螺鈿漆器は、中国王朝への贈り物になるほど、高麗を代表する特産品であった。朝鮮時代の螺鈿漆器は、時期によって花や鳥、葡萄、山水の文様などの装飾が施された。朝鮮後期から螺鈿漆器の種類が豊富になり、民間でも幅広く使われるなど、本格的な大衆化が始まる。
本展の終わりに
展示は我々に、新しい挑戦へ誘います。
新しさは新鮮で、ときめきを感じさせます。
私たちにとって古代の漆塗りがそうでした。
古いからこそ、今を生きる我々に新しさを感じさせるのです。
漆塗りは今も新しく更新されつつあります。
今では物だけでなく、絵画にまでその領域を広めています。
この新しさが溢れる世の中で、我々が古代の漆塗りに注目したのは、
新しさは過ぎ去った物の上に芽生えてくると思ったからです。
華やかで刺激的なものだけを追うこの頃、
数千年を受け継いできた古代の漆塗りをご覧になり、
昔の物から新しさを感じていただく展示になれば幸いです。
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