GIMHAE NATIONAL MUSEUM
展示千年以上前、荒波をかき分けて海に出た人々がいました。
洛東江下流の三角州一帯、旧金海湾を拠点として、船に乗って東西南北へ向かった人々。「伽耶」と呼ばれる国を建て、発展させていった人々についてお話ししたいと思います。
当時洛東江流域で取引された「鉄」は、東アジアの代表的な人気商品でした。規格化された大きさと形をもつ「鉄鋌」を積んだ伽耶の船が日本列島へ向かい、北九州に新たな文化と技術が伝わりました。
華やかな金製装身具を身につけ、新しいスタイルの服を着た伽耶の人々が馬に乗って登場しましたが、彼らが持ってきた鉄製品や鎧、刀剣などはそれまでの倭人社会では見られなかった新たな文物でした。彼らは硬い土器を作る技術を知っていて、見たことのない形の台所で見たことのない調理器具を使って調理しました。また、彼らが連れてきた馬と牛も、それまで見たことのない不思議な動物でした。馬は風のように速く、海の向こうでは人々が馬に乗って戦うという信じられない話を聞きました。一方、牛は人間の何倍も力が強く、それを利用して農作業を行ったり重い荷物を運んだりすると便利になることは明らかでした。
伽耶の人々の移住によって日本列島は以前とまったく異なる社会へと変貌し、その過程で伽耶からの渡来人と倭人は自然に融合していきました。本展では歴史に記録されていない伽耶の人々の暮らしや、今なら“*G-カルチャー”と呼ばれそうな古代韓流ブームを巻き起こした伽耶の人々の足跡をたどってみたいと思います。
胸がいっぱいになるような歴史体験をお楽しみください。
* GAYA(伽耶)の略